住宅には当然、壁、床、天井があるわけで、どんな材料で仕上げるかによって、固定資産税の値段も変わってきます。
では、どんな材料を使うと安くなるのか、元固定資産税家屋担当者が説明します。
内壁の仕上材料について
内壁の仕上材料(下地ではなく表面に出る材料)の評点(ほぼ値段とイコールだと思ってください)は上の表のとおりです。
一般的な材料だけで値段順に並べると以下のとおりとなります。
クロス貼 < 木質系仕上(上)< 塗り壁 < 内装タイル(中)< 石材系
上の表を見ていただいたら一目瞭然ですが、一番安いクロスですと5,200点くらいですが、最上級の石材系(特)だと114,840点もします(1㎡あたり)。
※仕上面積というのも計算に入るのですが、そこまで説明すると複雑になるため、ここでは省略します。
例えば内壁の総面積100㎡の家を建てた場合、一番安いクロス貼だと5,200×100で520,000円、石材系(特)だと114,840×100で11,484,000円となります。
固定資産税はこれに1.4%をかけたものなので、520,000円×1.4%だと7,280円。
11,484,000円×1.4%だと160,776円となります。
単純計算であり、実際は端数の調整などあるのですが、この差は大きいですよね。
クロス貼について
クロス貼はいわゆるビニールクロスのことです。
一番ポピュラーでお手頃なものですね。
私が見てきた新築住宅では、8割以上の住宅の内壁がクロス仕上だったように思います。
色、柄など幅広い種類があります。
和室だと和風の壁紙調クロスが貼られることもあります。
昔はクロスにも「上」「中」「並」といったランクがあったのですが、今の基準ではありません。
一番お手頃なものなので、予算に応じて好みのクロスを選択してください。
木質系仕上について
木質系仕上には「上」「中」「並」のランクがあります。
市町村によって解釈は違うかもしれませんが、一般的にはこんな感じです。
「上」 … 檜(ひのき),杉板張相当
「中」 … 化粧合板相当
「並」 … ラワン合板相当
木質系仕上「並」のラワン合板というのはベニア板みたいなもので、リビングや和室といった普通の部屋にはまず使われないものです。
物置やクローゼットの内壁などで見る程度でしょうか。
「中」の化粧合板というのはラワン合板に木目のついたシールを貼ったようなものです。
高額でない木目調家具をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
「上」はいわゆる無垢の木などを貼り付けたもので、上質なものなので当然高くなります。
和風建築にこだわった家を建てるなら、よく使われる材料です。
「並」だとクロスより安くなりますが、リビングの壁がベニア板というのはありえないですよね……
塗り壁について
塗り壁というのは、いわゆる漆喰壁や珪藻土壁、モルタル塗りなどを指します。
和風の家でよく見かける内壁仕上げです。
白い漆喰壁から色のついた珪藻土の壁まで色々な種類があります。
仕上げるのに手間がかかることもあって高めとなります。
内装タイルについて
内装タイルはキッチンまわりや洗面所、トイレなどで見かけることが多い材料です。
内装タイルについては「中」と「小」があります。
こちらは品質がどうこうではなく、一枚あたりの大きさで判断します。
「中」 … 200 ㎜角タイル相当
「小」 … 100 ㎜角タイル相当
タイルのサイズが小さい方が安くなるようになっています。
石材系仕上について
石材系仕上は「特」「上」「中」「並」の 4つに区分されています。
こちらは大きさではなく材質や値段による判断になります。
質がいいと当然値段も高くなります。
天然の石材を使っていると当然、「上」や「特上」などとして扱われます。
大理石などが代表的な材料ですね。
ただ、大きな声では言えませんが、めったに見かけない仕上材料なので、役所の担当職員に大理石が天然か人造かを見分ける力があるかというと微妙なところです。
図面や仕上表に書いてあれば別ですが……
見分けられない場合、役所側は安くなる方を取るのがセオリーです。
いわゆる「エコカラット」などと呼ばれる石材系材料をタイルで取るか、石材系で取るかは市町村によって違うようです。
実際の値段も高いので装飾的なワンポイントで使われていたことが多かったですね。
ワンポイント程度でいいなら、家屋調査が終わったあとに工務店に貼り付けてもらうのもいいかもしれません。
固定資産税の担当者は調査に行ったときにあった材料しか見ませんので。
その他の内壁材料
合成樹脂板、鋼板、ステンレス板、サイディング、石膏ボードなどが冒頭の表にありますが、住宅の内壁で見ることはあまりない素材です。
石膏ボードに関しては物置やクローゼットの内壁として見ることがありましたが。
いずれにせよ、リビングや和室といった部屋では見かけることがない材質でしたね。
内壁の固定資産税の考え方
壁にそれぞれクロスなり、タイルなりがどれくらいの面積貼られているかを計算しています。
ですが、当然、壁には窓や扉があることがほとんどなので、その分を差し引くことになります。
そのため、昔の新築住宅に立ち入っての調査では、窓や扉の大きさを測っていました。
しかし、時間がかかるので家主さんの時間を取ることになりますし、役所の担当者も一つ一つ計測するのは大変なので、今では省略できるようになりました。
大体、どんな家でも光を取り入れる採光率や壁の強度を保つため、作れる窓や扉の量が決まっています。
そのため、今では「建具」という項目で「上」「中」「並」という三段階から点数を取ることになっています。
窓や扉の量が多かったり、立派な建具を使っていると「上」、簡易な建物などで建具の数が少ないと「並」となります。
ですが、実際のところ、ほとんどの家を「中」で判定している役所が多いかと思います。
床の仕上材料について
今度は床の仕上材料ですが、評点(ほぼ値段とイコールだと思ってください)は上の表のとおりです。
こちらも一般的な材料だけで値段順に並べると以下のとおりとなります。
合成樹脂張床(中) < 木質系床仕上(中)< 畳(並) < タイル(大) < 石材系
合成樹脂張床について
合成樹脂張床というのは、脱衣所やトイレなど、水回りのある部屋によく使われている材料です。
いわゆるクッションフロアと呼ばれるもので、これらは合成樹脂張床(中)として扱われます。
加工がしやすく、お値段も手頃なので固定資産税的にも安くなります。
木質系床仕上について
木質系床仕上というのはフローリングのことです。
「並」と「中」と「上」に分かれています。
「上」はいわゆる無垢の木でできているフローリングということになります。
和風の家で見かける縁甲板などもこれに含まれます。
天然材料なので当然高くなります。
「中」は集成材などで作られた複合フローリングのことです。
集成材、合板下地の上に木目調のシールを貼り付けたものですね。
一番ポピュラーな床材料です。
「並」はラワン合板、ベニア板といったもので、物置やクローゼットの中くらいでしか見かけませんね。
ここはこだわりの分かれるところだと思います。
「中」のフローリングである家が一番多かったですが、リビングだけ無垢の木というこだわりの家を見かけることも多かったですね。
畳について
和室に使われる畳は「上」と「並」に分かれます。
一応、天然材料で作られている畳が「上」、それ以外が「並」というのが目安です。
ただ、いかにも高級な和風建築の家を建てている家は「上」とわかるのですが、役所の職員の目利き程度では見分けるのが難しいというのが実情です。
そのため、どちらとも判断がつかない場合は「並」を取っていました。
一般的なハウスメーカーの家の畳だとほとんどが「並」という判定になると思います。

タイルについて
一般的な家でタイルが使われているのは、ほとんどが玄関の床になります。
靴を脱いで、置いておくところですね。
タイルは大きさで値段が異なります。
大きいほど高くなります。
目安となる大きさは以下のとおりです。
「大」300 ㎜角相当
「中」200 ㎜角相当
「小」100 ㎜角相当
玄関の床にタイルを貼らないと「モルタル」や「コンクリート直仕上」という扱いになります。
とことん節約したいならそれもありかと思います。
カーペットについて
この場合のカーペットはフローリングや畳の上に敷いたカーペットではなく、初めから下地の上にカーペットを敷いているものを指します。
「上」と「並」に分かれます。
過去、700軒以上の新築住宅を見て来た私でも1軒しか見たことがありません。
一応、ペルシャ絨毯、トルコ絨毯、ウィルトン織りなど、編み込まれて作られた耐久性の高い絨毯(カーペット)が「上」となります。
それ以外のホームセンターなどでよく見かける量産品のカーペットなら「並」となります。
「上」だとフローリングの「上」よりも高くなります。
逆に「並」だとフローリング「中」よりも安くなるので、検討してみる価値はあるかと思います。
ちなみにいわゆるタイルカーペットと呼ばれるポリプロピレンやナイロンで作られたものも「並」として扱います。
リビングの隅に作られた簡易な畳スペースに使われている畳を大きさによってはタイルカーペット扱いにすることもありました。
石材系仕上について
いわゆる大理石などの床材料のことを指すわけですが、内壁と同様、値段によって「特」「上」「中」「並」に分かれます。
人造大理石より天然大理石が高いのは言うまでもありません。
最近はいろいろと新しい資材が登場していますので、どのランクに相当するかは役所の担当者にとって頭の痛いところです。
図面や仕上表に明確に書かれていないなら、安い材料ですと主張してください。
床の固定資産税の考え方
床の固定資産税の考え方についてはシンプルで、要は仕上材料が床にどれだけの面積使われているかを計算するだけです。
最近は図面描画システムを使って平面図を描いて、床材料を指定すれば計算される方式になっています。
ひとつの部屋で床材料が複数ある場合は、面積に応じて割合を出して計算しています。
天井の仕上材料について
天井の仕上材料による評点(=ほぼ値段)は上の図のとおりです。
こちらも一般的な材料だけで値段順に並べると以下のとおりとなります。
クロス天井 < 木質系天井仕上(中)< 木質系天井仕上(上) < 塗り天井
浴室天井というのは、昔ながらの浴室を作った場合に使われる評点で、今の住宅はほとんどがユニットバスですから、まず見ることがありません。
石膏ボードに関しては内壁や床同様、クローゼットの中などに使われる程度で、まずリビングや子ども部屋などに使われることはありませんね。
クロス天井について
クロス天井は内壁同様ビニールクロス等が貼られた天井です。
一番ポピュラーな仕上げであることは間違いありません。
和室以外はすべてクロス天井仕上という住宅がほとんどです。
和室に関しても、最近は板を貼ったように見えるクロスなどがあります。
木質系天井仕上について
木質系天井仕上は「並」「中」「上」「特」の四段階に分かれます。
「並」は内壁や床同様、ラワンやベニアのような材質で、押入の中やクローゼットの中で使われるものです。
「中」は化粧合板程度のもので、集成材で作られた木目調の天井板という感じでしょうか。
「上」は和室などでよく見かける板と板の間に隙間がある形で貼られた天井を主に指します。
「特」は格子状になった天井や段差があるような装飾がされた天井が主なものです。
このあたりの判断は市町村によって違うかと思いますが、一般的な例を挙げました。
要はなんらかの装飾、細工がされていると上のランクに取られると考えてください。
塗り天井について
塗り天井は内壁と同様、漆喰や珪藻土などが塗られた天井全般を指します。
言うまでもなく、施工が大変なので高く扱われることになります。
天井の固定資産税の考え方
天井の固定資産税についても、床同様、クロスや板が貼り付けられている面積に点数をかけたものと考えていただいて結構です。
ただ、二階の天井に板が貼られておらず、梁がむき出しになっている場合は、「仕上げなし」として点数を取らないこともあります。
まとめ・節約ポイントは?
私が見てきた新築住宅のほとんどは内壁と天井がクロスで床がフローリングか畳でした。
和室でも壁と天井は和風のクロスという新築住宅が多かったですね。
ただし、トイレや脱衣所、洗面所などの床は合成樹脂張床(いわゆるクッションフロア)という住宅も多かったです。
フローリングより若干安いですし、水はけもいいので検討されてもいいと思います。
フローリングに関しては、ほとんどの住宅が集成材の合板フローリングでしたが、先述したとおり、リビングだけ無垢の木のフローリングという住宅も見かけました。
良いこだわりかと思います。
少しでも自分がこだわりたいところを実現しておくと、あとで納得できます。
とにかく固定資産税を安くしたい方は、見えないところ……例えばクローゼットや押入の中などをベニア板レベルの内壁、床、天井にすれば安くできます。
無垢の木や漆喰を使った住宅を検討されている方は二階天井部分の板をなくして、梁をむき出しにすると二階天井仕上がないことになるので、節約できるかもしれません(ただし、市町村によって考え方が違うのでご注意を)。
屋根については以下の記事をどうぞ。

固定資産税が高くなる家については以下の記事をどうぞ。

家屋調査については以下の記事をどうぞ。

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