カーポートやガレージ、小型の物置などを新築住宅と同時に建てられる方も多いかと思います。
また敷地や境界をきっちりさせるため、フェンスやブロック塀などを作られる方も多いのではないでしょうか。
これらは固定資産税の対象となるのでしょうか?
元固定資産税担当者が教えます。
カーポートは建物とみなさない。
カーポートとは、以下の写真のような4本か6本程度の脚があって、屋根があり、車を雨から守るものです。
これは固定資産税上、建物とみなされません。
なので、固定資産税の課税対象とはなりません。
理由は壁がないからです。
固定資産税上の建物要件というものがあります。
簡単に言うと、三方向以上が壁に囲まれていて屋根があり(外気分断性)、なおかつ地面に定着(土地定着性)しているものということになっています。
用途性というものもあります。
居住や貯蔵、作業などの用途に使われるもので、外気分断性と土地定着性を充たしているなら建物とみなされます。
カーポートの場合、屋根があって地面に定着していますが、壁がありませんので課税対象とはなりません。
外気分断性を充たしていないわけですね。
1台だけ停める小さなものでも、3、4台停められる大きなものでも同じです。
電動の上下に動く柵があっても同様ですので、必要なら気にせず満足の行くものを作ってください。
ガレージは課税対象です。
車をいじるのが好きだったり、アウトドアグッズをたくさん所有している方は、ガレージを作られることでしょう。
カーポートと違い、壁があって部屋のようになっているガレージは、建物要件をすべて充たしてしまうので課税対象となります。
当然、大きな面積になると、そのぶん税額も高くなります。
電動シャッターなどがあるとポイントが加算される場合もあります。
中に手を洗う洗面ボウルなどを作るとさらにポイントが追加されます。
ただ、ガレージがどうこうというより、家に部屋がもうひとつ増えるような感覚で考えてもらうべきかと思います。
カーポートと違って、税金の対象になるから損をしたと考えるのではなく、便利な部屋をひとつ作ったのだと考えてください。
少しでも固定資産税を安くしたいなら、内壁をケイカル板むき出しにしておくとか、床はコンクリート打ちっぱなしにしておくのがひとつの手です。
フェンスやブロック塀は対象外です。
フェンスやブロック塀などを作られる方もおられるでしょうが、これらは当然建物ではないので課税対象になりません。
気にせず、予算の許すかぎり、思い通りのものを作ってください。
フェンスやブロック塀は隣家や道路との境界線とも言える大切な役割を持つものですから、あったほうがいいと思います。
プライバシーも守れますし、小さな子どもを庭で遊ばせるにもフェンスがあれば少し安全です。
植栽や庭園も対象外です。
植栽や庭園の類も当然固定資産税の対象となりません。
なので、思い通りのものを作ってください。
フェンスの代わりに低木を植えることで境界をはっきりさせるのもひとつの方法ですね。
小型物置は作り方次第です。
いわゆるホームセンターなどで販売しているイナバ製やヨド製の小型物置ですが、これは地面への固定の仕方がポイントとなります。
以下の写真のようにブロックの上に乗せるだけとか、アンカーボルトで固定する程度なら、土地への定着性がないと見なされ課税対象となりません。
しかし、基礎をモルタルなどでガチガチに固めてしまうと定着性があるとみなされ、たとえ小型のものでも課税対象となります。
小型の物置なら簡単な設置方法にすることをおすすめします。
ですが、大事な物を入れる倉庫にするとか、ある程度の大きさがあるものは当然ちゃんと固定しないと危険ですから、そこは建築業者の意見に従ってください。
そもそも、外構は必要なのか?
おしゃれな庭のある家にあこがれる方も多いかと思います。
しかし、実際生活してみるとわかりますが、庭木の手入れなどはかなり大変です。
どのような木を植えるかにもよりますが、冬場は落ち葉の掃除が必要です。
低木だと思っていた木がいつの間にか成長して背が高くなり、専門業者に頼まないと手入れが困難になるようなこともあります。
↓こんな感じになります。
家庭菜園に憧れる方もいらっしゃるかと思います。
マメな方や野菜や花を育てるのが大好きという方は問題ありませんが、素人の園芸技術ではなかなかうまく育ちません。
夏場は雑草が生い茂るので、暑い中除草するのも大変です。
それなら、植木鉢やプランターでプチトマトなどを作るほうが効率がいいかもしれません。
芝生もあこがれの存在かもしれません。
しかし、手入れはものすごく大変です。
庭木や家庭菜園よりも大変と言っていいでしょう。
専門の芝刈り機なども必要です。
では、どんな外構がおすすめなのか?
いくつもの家を見て来て感じたことを述べます。
まず、車が必要な環境かどうかによって変わりますが、車が生活に必要なら車を置くスペースを広く取ることをおすすめします。
今は大人しか使わなくても、将来子どもが車に乗る日も来るでしょうから、少なくとも2,3台は置けるスペースはほしいところです。
固定資産税を安くするため、ガレージではなくカーポートにしましょう。
カーポートから玄関まで雨に濡れずに入れる作りにするのがポイントです。
また、スロープなどを作っておくと、将来、車椅子生活になったときでも安心です。
カーポートがない部分は、門柱以外はフェンスで囲いましょう。
フェンスがないオープンな家もありますが、隣家との境界をはっきりさせておくという意味ではあったほうがいいと思います。
道路で遊んでいる子どものボールが敷地内に入ってくるのを防ぐこともできますし。
門柱にはドアホンを設置しておくといいでしょう。
玄関横の外壁にドアホンを付けるよりセキュリティ面で安心だと思います。
フェンスは全面道路の通行量が多いなら背の高いフェンスが必要かもしれませんが、そうでないなら低いものでいいと思います。
プライバシーが気になるなら、低木で背が高くならない木を植えるのもいいかと思います。
雑草の手入れが面倒なら、庭をコンクリートで固めてしまい、ほとんどを車を置くスペースにするのがおすすめです。
しかし、緑ひとつないのもさびしいですから、一本くらいは木を植えるのもいいかもしれませんね。
できれば常緑樹でしょうか。
大きくなりすぎる木は隣家とトラブルになる可能性があるのでおすすめしません。
なお、できるだけ安くしたいなら、庭に砂利を撒く方式がおすすめです。
安上がりなだけでなく、人が歩いていると音が鳴りますから防犯対策にもなります。
ただ、雑草は防げません。
空きスペースがあるなら、固定資産税の対象にならない設置方法で小型の物置を作っておくといいかもしれません。
車のタイヤなどを保管するのに便利です。
まとめ 必要なら気にせず作りましょう。
フェンスやブロック塀はともかく、ガレージや物置はあれば便利なものですし、面積が小さければたいした税額にならないので気にせず作るべきと考えます。
わずかな税金をケチって不便な思いをすることはもったいないです。
せっかくの新築住宅ですから、なんでも好きなように作ればいいと思います。
ただ、庭の手入れはかなり大変なので、おしゃれにこだわらず、実用的な作りにするのもひとつの選択肢かと。
生活様式に合わせて考えてみてください。