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注文住宅、新築住宅にかかる不動産取得税はいくら?軽減できる?【元役人が優しく解説】

税金
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新築住宅にかかる税金といえば、固定資産税があまりに有名ですが、もうひとつ不動産取得税というものがあります。

どういったものなのか、元役人が優しく解説します。

不動産取得税って何?

不動産取得税というものは、土地や建物を手に入れたときに一回だけかかる税金です。

固定資産税は市町村が徴収する税金ですが、こちらは都道府県が徴収する税金です。

固定資産税は毎年かかりますが、不動産取得税は取得した際に一回だけかかる税金です。

ちなみに新築住宅だけでなく、中古住宅を取得した場合もかかります。

ですが、すべてを記すと細かくなりすぎますので、ここでは新築住宅に関する部分のみ説明します。

不動産取得税の税率は?

不動産取得税の税率は住宅用建物なら固定資産評価額の3%、それ以外なら4%となります。

例えば、倉庫を作ったとして、それが車のタイヤや草刈り機を入れておくなど住宅用に使うものなら3%です。

しかし、住宅の一部が店舗などになっていて、商品や資材を保管しておくように使うものなら4%となります。

不動産取得税はいつ頃かかる?

固定資産税評価額の3%か4%と説明しましたが、市町村が建物の固定資産税額を通知するのは4月か5月になります。

この情報が都道府県に渡されて計算される仕組みとなっていますので、通知が届くとすれば大体9月頃となります(都道府県にもよります)。

固定資産税を払ったと思ったら、別の税金の通知が来たので驚かれる方が結構おられます。

なお、9月頃というのは建物の不動産取得税の話です。

土地に関しては手に入れて登記がされ、2,3ヶ月ほどすると届くことが多いようです。

土地の不動産取得税は購入してしばらくするとやってくると考えていてください。

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不動産取得税に軽減措置はないのか?

仮に住宅の固定資産税評価額が1,000万円だとすれば、3%で30万円もかかってしまう不動産取得税。

高いですよね?

ご安心ください、土地にも建物にも軽減措置があります。

ここでは新築住宅を建てる場合について説明します。

一般的なパターンを想定して、できるだけ簡単に説明します。

土地の不動産取得税軽減措置

令和4年現在、土地を買ってから3年以内にその土地の上に住宅を建てれば軽減措置が受けられます。

ここでいう住宅とは床面積が50㎡以上240㎡以内の居住用建物ということになります。

逆に言うと、240㎡以上の住宅を建ててしまうと軽減が受けられません。

軽減内容は税額から、以下の(1)か(2)のうちどちらか大きい方の数字が引かれます。

(1)45,000円

(2)土地1㎡当たりの価格×(住宅の床面積×2(上限200㎡))×3%

(1)は簡単ですが、(2)はちょっと難しいですね。
仮に計算してみましょう。

1㎡あたりの価格が30,000円である200㎡の土地を持っていた場合、土地の評価額は600万円。

不動産取得税は3%ですから18万円となります。

ここから(1)と(2)のうち高い方を引くことになるわけですが、(2)の計算をしてみましょう。

仮にこの土地に100㎡の建物を建てたとすれば、以下の計算式となります。

・土地1㎡あたりの価格30,000円✕(住宅の床面積100㎡✕2=200㎡)✕3%=18万円。

(1)の45,000円より(2)の18万円の方が大きい数字ですから、こちらが適用されます。

この場合だと、土地の不動産取得税が全額免除となりました。

こんなピッタリということはあまりありませんが、結果的に全額免除ということは結構あります。

基本的に全額免除となれば通知が届きません。

都道府県によっては違うかもしれませんが、届いたとしても軽減措置によって0円になりましたという通知が届くだけでしょう。

ただし、土地を取得した際にそこに家が建つかどうかを都道府県が把握しきれない場合があります。

土地を購入した段階で、どれくらいの床面積の家が建つかわかっていた場合は、先に計算がされます。

その場合、全額免除されて通知が届かないか、あるいは軽減されたあとの残額分だけの通知が届きます。

しかし、家が建つかどうか不明な場合は、何も引かれていない額で不動産取得税の通知が届きます。

通知が届いた際、軽減済みかどうかが必ず書かれているので、通知をよく確認してください。

軽減済みの場合はその額が確定額ですので、支払うしかありません。

軽減がされていない場合は一旦、その額を支払うことになるか、すでに家が建っているなら軽減の手続きをすることになります。

土地購入後に住宅を建てたことを証明する書類(登記の写しなど)を都道府県の窓口に提出すれば軽減措置が受けられるので忘れないようにしてください。

仮に一旦支払ってしまっても、手続きをすればお金が返って来ます。

どんな書類が必要かは通知と一緒に届く書類に窓口の連絡先が書いてありますので、まずは電話して確認するのが確実でしょう。

とにかく、軽減済みかどうか確認することが重要です。

土地の値段は都会と田舎では大きく違うので、一概に言えませんが結構高い税額だなと思ったら、疑ってみてください。

税金と家

住宅の不動産取得税軽減措置

土地だけでなく、住宅についても不動産取得税がかかるわけですが、こちらは土地に比べてシンプルな計算となっています。

住宅の固定資産税評価額が1,200万円(長期優良住宅の場合は1,300万円)以下なら、不動産取得税はかかりません。

超えたとしても、超えた分に対してのみ3%がかかることになります。

仮に長期優良住宅の建物で、建物の評価額が1,500万円だったとすると、そこから1,300万円を引くと残りは200万円。

200万円に3%をかけると60,000円。

なので、60,000円が不動産取得税額となります。

1,500万円に対して3%をかけると45万円ですから、いかに軽減措置が大きいかわかりますね。

ただし、ひとつだけご注意を。

4月か5月頃、市町村から住宅の固定資産税評価額の記された通知が届きますが、そこに記されている評価額は本来の評価額から80%の数字です。

固定資産税の場合、住宅は本来の評価額の80%からスタートという仕組みになっているからです。

仮に本来の評価額が1,000万円の住宅なら800万円と表示されています。

なぜかというと、固定資産税の場合は建物が建ってから1年経っているというふうに考えるからです。

1年経ったことで、資産価値が80%にまで落ちたとみなします。

それに対し、不動産取得税は手に入れた時点での数字で計算をするという考え方になっています。

なので、100%の数字で計算をするのですね。

ですから、例えば「固定資産税の通知に住宅の評価額が1,100万円と記されているから不動産取得税がかからないな……」と考えてはいけません。

1,100万円というのは80%の数字なので、100%に割り戻すと本来の評価額は1,200万円を超えていることになります。

これを理解していないと、想定していなかったのに不動産取得税を支払いなさいという通知が来て驚くことになります。

中には参考として100%の評価額も記している市町村もあるかもしれませんが、私は聞いたことがありません。

割り戻す計算は面倒ですから、以下の数字を参考にしてください。

・長期優良住宅の場合……1,300万円の80%は1,040万円

・長期優良住宅以外の場合……1,200万円の80%は960万円

つまり、固定資産税の通知が届いた時点で、長期優良住宅なら1,040万円、それ以外なら960万円を超えていなければ不動産取得税はかかりません。

まとめ 不動産取得税については、軽減措置が結構あります。

不動産取得税は細かく記すといろいろ複雑になります。

二世帯住宅とか店舗兼住宅などは複雑なので、ここでは一般的なパターンだけ説明しました。

せめて以下のことだけでも覚えておいてください。

・土地にも建物にも軽減措置がある。
・土地に関しては軽減済みの数字で通知が来ることがある。
・土地に関して、仮に軽減されていなくてもあとから手続きできる。
・住宅は長期優良住宅なら1,300万円以下、それ以外なら1,200万以下の評価額なら不動産取得税がかからない。
・ただし、市町村から来る通知の住宅の評価額は80%の数字である。
・住宅の要件は50㎡以上240㎡以内。240㎡以上の家を建てると軽減が効かない。

おまけ・実家の敷地内に住宅を建てる人は面積に注意を!

田舎の古い集落に実家がある方は、広い実家の敷地内に新築住宅を建てることがあるかと思います。

このときひとつ注意していただきたいことがあります。

それは同じ敷地内にある実家の建物と合わせて合計面積240㎡を超えないようにしていただきたいということです。

この場合の建物は実家の住宅だけでなく、物置なども含みます。

先述したように不動産取得税の軽減が適用される住宅の面積は240㎡以内となっています。

実はこれ、一軒家だけに適用されるのではなく、同じ敷地内にあるすべての建物を合わせて240㎡以内ではないと適用されない仕組みとなっています。

例えば、親が所有する敷地内の建物が合計140㎡だとすると、そこに子ども世帯が100㎡以上の住宅を建ててしまうと240㎡をオーバーしてしまい、適用されなくなってしまいます。

ですが、実はこの仕組みについては都道府県によって違うようです。

とある県のホームページを見ると、とにかく敷地内にあるすべての建物の面積を足して240㎡を超えたら駄目と書いてあります。

しかし、別の県では建物所有者の名義が違えば、所有者別に合計を出すと書かれていたりします。

後者の場合、実家の建物が父名義で120㎡、新築住宅が子ども名義で130㎡であったとしても、所有者が別なので240㎡以上とカウントしないということです。

このあたりは各都道府県で伝統的に続いているルールがあるようですので、同じような状況で家を建てる場合は各都道府県のホームページを参照するか、担当部署に問い合わせるなどしていただくほうが良いと思われます。