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注文住宅、新築住宅にかかる固定資産税の相場は?いつからかかる?【元役人が優しく解説】

固定資産税 税金
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家を建てた後、気になるのは固定資産税ではないでしょうか。

ランニングコストとして大きな存在となります。

一体、いくらくらいかかるのか……元担当者の役人がわかりやすく説明します。

最初に結論から……新築住宅の固定資産税は大体これくらいです。

最初に結論から述べておきます。

例年、一番多く建てられるのが100㎡から120㎡の床面積で、特別高価な材料を使っておらず特殊な設備もない住宅です。

これを基準とすると、1,000万円から1,200万円の間くらいの評価額(課税標準額)に収まるのが相場です。

住宅の固定資産税については、課税標準額の80%の金額からスタートとする仕組みとなっています。

住宅が建って一年経ったとみなすからです。

つまり、先述した数字の80%ということで、800万円から960万円くらいが一年目の課税標準額となります。

税額はそこに1.4%(ごく一部に1.5%の市町村あり)をかけたものですから、税額は112,000円から134,400円くらいが相場となります。

これは住宅だけの金額です。
土地の分は含まれていません。

高いと思われるかもしれません。

そのために各種軽減措置などが用意されています。
金額の根拠も含めて、さらに説明していきます。

固定資産税通知

固定資産税の基本

まずは固定資産税の基本から。

固定資産税は毎年1月1日現在に所有している土地や建物にかかる税金です。

極端に言えば、1月2日に住宅を売っても1日現在は所有していたことになるので、その年はかかることになります。

自動車税が4月1日現在の所有者にかかるのと同じような仕組みです。

ただし、逆にいうと1年目は1月2日に住宅が完成しても、その年は税金がかからないことになります。

なので、建てる時期をうまく計算すると、住宅の税金に関しては1年ほどかかりません。

注:住宅が建った土地は値段を6分の1にしてから課税するという仕組みがあるので、高い土地を持っている人は必ずしも得とは言えません。

固定資産税の税率は土地と建物の課税標準額に1.4%をかけたものになります(ごく一部の市町村は1.5%)。

評価額と課税標準額というものがあり複雑なのですが、建物は評価額=課税標準額です。

土地の場合は各種補正がかかるのでイコールではありません。

ここでは税金をかける際の基本的な額だと考えてください。

仮に土地と建物を足して1,000万という課税標準額なら、税額はかける1.4%で14万円(年間)となります。

固定資産税の軽減措置

いきなり14万円という額は高いので、固定資産税には軽減措置がいくつかあります。

建物(住宅)の軽減措置

住宅の軽減措置ですが、最初の3年間(長期優良住宅なら5年間)120㎡までの床面積分、建物の税額が半額になります。

仮に住宅の床面積が120㎡以下で税額が10万円だったとすれば、最初の3年間(長期優良住宅は5年間)は5万円になるわけです。

120㎡を超える床面積の住宅を建てても、120㎡分までは半額となります。

オーバーした床面積分のみが普通の税額になります。
例:130㎡の住宅の場合、120㎡分相当の税額が半額、残り10㎡分のみ軽減なしの税額

ただし、この軽減措置が適用されるのは床面積が50㎡以上280㎡以下の住宅に限ります

50㎡以下の建物はそもそも評価額(課税標準額)が安いですし、280㎡以上の住宅を建てられる人はお金持ちということで除外されるようです。

土地の軽減措置

土地についても軽減措置があります。

住宅が建った土地は建物の床面積の10倍までが住宅用地と認められます。

そのうち200㎡分までが6分の1、200㎡を超える分については3分の1に評価額を落としてから1.4%をかけるという仕組みとなっています。

仮に住宅の床面積が100㎡だとすると、最大1,000㎡までは住宅用地と認められ軽減の対象となります。

内200㎡までの土地評価額が6分の1、残り800㎡分の土地評価額が3分の1に落としてから課税されます。

一般的な分譲住宅地の土地だと、200㎡までの広さの土地がほとんどかと思います。

仮にその土地の評価額が600万円だとすると、課税する際には6分の1となり、100万円(これが課税標準額)となります。

計算すると100万円の1.4%で、土地の税額は14,000円程度となるわけですね。

なお、住宅の新築軽減は3年または5年限りですが、こちらの住宅用地の特例は住宅が残っている限りずっと続く仕組みとなっています。

よく「土地を更地のままにしておくともったいない」と言われますが、この仕組みがあるからです。

バブルの頃などは土地代がかなり高かったので、知識のある所有者は50㎡程度の簡易な小さな住宅を作り、この特例が効くようにして節税をされていたようです。

固定資産税額は下がっていく?

固定資産税額ですが、土地に関してはそのときの需要によって上下するものなので、一概に下がるとは言い切れません。

景気に左右されるところがあります。

住宅については、基本的には下がっていきます。

固定資産税には3年ごとに見直しの年があります。

令和3年度に見直しが行われましたので、次は令和6年度、令和9年度という具合に見直しの年が訪れます。

このとき、住宅が経ってからの年数に応じてかける数字があります。

経年劣化する分の比率です。

要するに住宅が古くなる分、傷んで価値が落ちていくのでその分の係数をかけるのです。

住宅の場合、80%からスタートして3年後には70%になっています。

住宅の質にもよりますが、大体20年から25年で最低比率の20%にまで落ちます。

3年後に70%になると書きましたが、新築軽減が適用されている住宅の場合、当初は50%オフになっているわけですから4年目はむしろ上がります。

4年目から6年目が一番高い時期になります。

※長期優良住宅は5年間新築軽減が効くので、6年目くらいが一番高いことになります。

では、以後は落ちていく一方なのか……といえば、実はそうとは言い切れません。

再建築費というのですが、要は「そのときの物価で住宅を建て直したらいくらになるか?」という計算を行います。

たとえ住宅の経年劣化が進み80%から70%にまで落ちたと言っても、そのときの物価が高い場合、むしろ再建築費を出すと元より高くなることがあります。

「じゃあ、住宅が古くなるというのに税額が上がるのか?」と思われるかもしれませんが、それはありません。

住宅が古くなるのに税額が上がるのはおかしいので、この場合は据え置き……つまり、それまでの税額をまた三年間継続という形になります。

「上がることはないが、下がるとは限らない」と覚えておいてください。

実際の固定資産税の相場はどれくらいか?

固定資産税額の相場ですが、最初に述べたように一般的な住宅なら1,000万円から1,200万円の間くらいの評価額(課税標準額)に収まるのが普通です。

住宅は当初80%の額からスタートするので、800万から960万の額に1.4%をかけた数字……つまり、税額は112,000円から134,400円くらいになります。

これが120㎡以内の住宅なら3年間か5年間は半額になるので、当初の税額は56,000円から67,200円。

ここに土地の税額をプラスしたものが当初の固定資産税額になります。

都会ならともかく、田舎なら10万円程度用意しておけばお釣りが来ると思います。

ただし、3年後か5年後には2倍になっている可能性がありますのでご注意ください。

1,000万円から1,200万円という数字の根拠は、長年固定資産税業務に関わっていたから言える数字です。

しかし、実は住宅に不動産取得税という税金がかかる評価額の下限が1,200万円(長期優良住宅だと1,300万円)だからという側面もあります。

新築軽減の対象となるのが住宅の床面積が120㎡で、不動産取得税がかかる評価額が1,200万円(1,300万円)以上ということは、国が大体それくらいのラインが標準的な住宅と見ているわけです。

不動産取得税というのは都道府県が徴収する税金で、土地や建物を手に入れたときに一度だけかかる税金です。

以下の記事で説明していますので参考にしてください。

注文住宅、新築住宅にかかる不動産取得税はいくら?軽減できる?【元役人が優しく解説】
新築住宅にかかる税金といえば、固定資産税があまりに有名ですが、もうひとつ不動産取得税というものがあります。 どういったものなのか、元役人が優しく解説します。 不動産取得税って何? 不動産取得税というものは、土地や建物を手に入れたときに一回だ...

なお、ここまで説明しておいてなんですが、固定資産税というのはある程度の基準は国が決めているものの、最終的には市町村がどう解釈して計算するかを決める仕組みとなっています。

例えば、国の基準にない珍しい設備が住宅に取り付けられていたとき、市町村によってポイントを取る場合と取らない場合があります。

つまり、同じ住宅でも市町村によって、評価方法が微妙に違うので評価額にズレが出ます。

それほど大きく差があるということはないとは思いますが、ここで上げた数字は一般的な相場として解釈してください。

なお、新築時に役所が行う家屋評価の内容については以下の記事で述べています。

【元役人が教える】新築住宅の家屋評価(調査)/担当者は何を見ている?
新築住宅を建てると必ず役所の固定資産税担当者による家屋評価(調査)が行われます。 市町村によって若干やり方は違いますが、一般的な手順と役所の担当者が家のどんなところを見ているかをお伝えします。 まずは家屋評価依頼から 役所の担当者は法務局か...

固定資産税の相場について、まとめ

以下のことだけでも覚えておいてください。

・固定資産税は1月1日現在の所有者にかかる。
・固定資産税額は課税標準額の1.4%
・建物(住宅)に関しては、最初の3年間か5年間半額になる軽減措置がある。
・土地に関しては、住宅が建った場合、値段が6分の1になる制度がある。
・固定資産税は3年ごとに見直しがされ、建物に関しては今より高くなることはない。

余談・都市計画税について

都市計画税という税金があります。
名前のとおり、市町村がなんらかの都市計画を行うために使う税金です。
いびつな形の土地をきれいに整理して住宅街や商業地を作る土地区画整理事業や、大規模な道路整備を計画している市町村などで徴収されます。
逆に言えば、徴収していない市町村もあります。

基本的に徴収の対象となるのは市街化区域に土地や建物を持っている個人や法人です。

市街化区域というのは建物を建てていい区域ですので、新たに造成されたような住宅街はほとんどが対象となります(反対となる用語が市街化調整区域……田畑や山林などがほとんどで、開発が制限されている区域です)。

この税金がある市町村では、固定資産税と一緒に徴収されます。

税率は最大0.3%までと決まっています。

固定資産税の評価額(課税標準額)に0.3%をかけた額となります。

固定資産税よりは安いですが、元の土地や建物の額が高いとこちらも馬鹿にならない額になりますのでご注意ください。