新築注文住宅を建てるにあたって、木造住宅か、軽量鉄骨造住宅のどちらを選ぶかは大きく迷うポイントです。
どちらにもメリット、デメリットがありますので、できるだけ簡単に紹介します。
軽量鉄骨造というのは厚さ6mm以下の鋼材を柱や梁に使った建物のことを言います。
住宅としては3mmから4mmの間の鋼材が使われることがほとんどですので、この記事ではそれを前提として説明します。
鉄骨造には鉄筋コンクリート造の建物も含まれますが、普通の住宅を建てるに当たり、まず選択肢に上がることはないのでここでは割愛します。
木造住宅と軽量鉄骨造住宅の比較
木造と軽量鉄骨、値段が安いのはどちら?
単純に材料費だけで考えるなら木造住宅のほうが安いです。
軽量鉄骨の住宅はそもそも柱一本からして加工品であるわけで、鉄の材料費に加え、防錆剤を塗るなどの手間がかかり、自然と値段が高くなります。
木造はそこまでの手間がかかるわけではありません。
とはいえ、木造にもいろいろあり、国産木材や無垢の木にこだわると軽量鉄骨造より値段が高くなることももちろんあります。
輸入木材も昨今の円安や原油高によって高くなっている傾向もあります。
一方、軽量鉄骨造は材料費こそ高いものの、ほぼ工場で加工された材料を現地で組み立てる方式なので、建築期間が木造より短いという利点があります。
そういう部分でコストを抑えている面もあり、材料の質次第では総合計で考えると木造より安くなる可能性もあります。
木造住宅と軽量鉄骨造住宅、快適なのはどちら?
自然の材料から作られる木造住宅は、金属の柱やパネルを組み立てる軽量鉄骨造住宅よりも快適です。
日本の気候風土にあった材料であるため、湿気などの影響も少ないです。
木材には人間の目には見えないほどのミクロなすき間があり、水分を吸収してくれるなどして湿気を調整してくれるのです。
すきま風が入りにくい構造にもなっており、外気分断性も高いです。
熱伝導率が低いので外気の影響を受けにくく、快適な環境を自然の力で作ってくれます。
軽量鉄骨造の場合、この問題をカバーするために全館空調設備を設置するのが基本となります。
全館空調設備を取り付けるとなると、初期費用やメンテナンス代がかかります。
電気代がかなりかかるので太陽光パネルを設置する住宅が多いですが、その費用も馬鹿になりません。
また、固定資産税も全館空調の分だけ高くなります。
全館空調設備を取り付けるなら引き分けと言えますが、そこまでのことをしないなら木造住宅の方に軍配が上がりますかね。
木造住宅と軽量鉄骨造住宅、長持ちするのはどちら?
軽量鉄骨造の住宅は木造に比べると耐久性に優れており、骨組みとしては長持ちします。
木造住宅の法定耐用年数は22年、軽量鉄骨造の法定耐用年数は27年です。
鉄骨造の場合、シロアリなどの害虫被害も心配ありませんから長持ちするという面もあります。
シロアリ防止の費用も必要ありません。
ですが、近年は技術の向上で木造の耐震性も高まっています。
メンテナンスをすれば長持ちする長期優良住宅という住宅もあるわけで、決して木造だからといって耐久性が低いわけではありません。
火事については、一般的に木よりも鉄の方が燃えにくいのは事実ですが、一方で500度を超すような高温になると鉄は溶け始めて変形してしまうという面があります。
一概に軽量鉄骨造の方が火事に強いとは言えません。
ただ、現状、火災保険料は軽量鉄骨造のほうが安い傾向にあります。
同じような作りだと長持ちするのは軽量鉄骨造ということになりますが、建て方次第で結果は変わるかもしれません。
木造住宅と軽量鉄骨造住宅、品質が安定しているのはどちら?
現場で行う工程が多い木造住宅は、職人さんの腕に左右される面がどうしてもあります。
軽量鉄骨造の住宅は、工場生産された部品を運びこんで組み立てる形式なので、あまり職人さんの腕に左右されません。
木造住宅にも2×4(ツーバイフォー)工法という壁を組み立てていく工法があるのですが、それでも軽量鉄骨造よりは職人さんの技量が必要です。
この点においては軽量鉄骨造の方に軍配が上がりますかね。
木造住宅と軽量鉄骨造住宅、リフォームしやすいのはどちら?
リフォームしやすいのは木造住宅です。
特にリフォーム時に間取りを変えたいという場合は木造住宅が圧倒的に有利です。
軽量鉄骨造の場合、元々、柱の数が少ないので広い部屋を作れるのが利点なのですが、そのぶん壁に筋交いと呼ばれる斜めの鋼材が入っており、リフォーム時に壁を撤去するということが難しいです。
金属でできている以上、リフォーム時には柱が錆びていることも十分考えられます。
その分の改修費用なども考えると圧倒的に木造の方がリフォームしやすいと言えるでしょう。
ただし、木造住宅でも2×4だとこちらも壁で屋根を支える工法なので、同じ理由でリフォームしにくい面があります。
先述したように同じ条件なら軽量鉄骨造の方が木造より長持ちするのは事実なのですが、リフォームをしてさらに長持ちさせたいという考えがあるなら木造の方がおすすめと言えますね。
もちろんリフォームを検討する30年後ぐらいには新たな技術が誕生して状況が変わっている可能性もありますが……
木造と軽量鉄骨、固定資産税が高いのはどちら?
固定資産税において、木造と軽量鉄骨造では各資材や設備について、評価点数(ほぼ金額とイコールと考えてください)は違うのですが、実際計算してみると、固定資産税額にたいした変わりはありません。
全体的に軽量鉄骨住宅の方が高い評価額が出る傾向がありましたが、それは全館空調や床暖房、ソーラーパネルぶきの屋根などの設備がついている住宅が多かったからであって、住宅そのものが高かったわけではありません。
軽量鉄骨造の建物は長期優良住宅が適用されていることが多く、税の部分で優遇される部分もあります。

木造にしても無垢の木や漆喰壁などを使うと高くなります。
固定資産税については、引き分けと言えるでしょう。
まとめ・どちらにも一長一短あり
これまで見てきた内容をまとめますと……
価格は材料代だけで考えると、木造>軽量鉄骨造
快適性は基本的な設備だけだと、木造>軽量鉄骨造
耐久性は、軽量鉄骨造>木造
品質の安定性は、軽量鉄骨造>木造
リフォームのしやすさは、木造>軽量鉄骨造
固定資産税額は、木造=軽量鉄骨造
木造の方がやや優位という結果となりましたが、各判定項目で書きましたように、あくまで一般論です。
ここまで書いておいて身も蓋もないのですが、建築費次第で結果は変わります。
建築技術は常に発展していますし、材料費は経済状況で変わります。
職人さんの腕などははっきり言って事前に確認することが不可能です。
それだけに自分にあった工務店や住宅メーカー選びが重要になってきます。
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