注文住宅を建てるとき、建物と同じくらい重要なのが土地選びです。
どれだけ理想的な家を建てても、「道路が思った以上にうるさい」「子どもの学校が遠い」「希望していた間取りが入らない」といった問題は、家を建てたあとでは簡単に解決できません。
私は固定資産税の仕事をしていた頃、700棟以上の新築住宅を実際に見てきました。
いろいろな住宅や土地を見てきて思うのは、土地選びでは土地の価格や広さだけでなく、「そこに家を建てて何十年も生活する」という視点が重要だということです。
この記事では、注文住宅の土地選びで後悔しないために確認しておきたい10のポイントを紹介します。
土地選びで最も大切なのは「希望する家を建てられるか」
土地探しをしていると、駅からの距離、土地の広さ、価格などに目が行きがちです。
しかし注文住宅を建てるために土地を買うのであれば、最も重要なのは「その土地に希望する家を建てられるか」です。
例えば100㎡の土地を購入したからといって、100㎡を自由に使って家を建てられるわけではありません。
土地には、用途地域、建ぺい率、容積率、接している道路の状況など、さまざまな条件があります。
土地の形や高低差によっては、希望する間取りや駐車スペースを確保できないこともあります。
そのため、土地だけを先に購入するのではなく、できれば住宅会社と相談しながら土地探しを進めることをおすすめします。
土地選びで後悔しないためのチェックポイント10選
1.土地と建物を合わせた総予算を考える
土地選びで最初に決めておきたいのが予算です。
例えば家づくり全体に4,000万円使えるからといって、土地2,000万円+建物2,000万円で単純に考えることはできません。
注文住宅では建物本体以外にも、外構工事、地盤改良、上下水道の引き込み、登記、住宅ローン関係の費用などがかかります。
土地に予算を使いすぎてしまうと、建物の大きさや設備を削ることになりかねません。
「土地はいくらまで」ではなく、「家づくり全体でいくらまで」という考え方から土地を探しましょう。
2.希望する家を建てられる土地か確認する
気に入った土地を見つけたら、そこで希望する家が建てられるかを確認します。
特に確認しておきたいのが、
- 用途地域
- 建ぺい率・容積率
- 接道状況
- 土地の形状
- 高低差
- 地域独自の建築・景観に関する制限
などです。
また、市街化調整区域では建築に制限があります。
市街化調整区域だから絶対に家を建てられないというわけではありませんが、条件によっては建築できないことがあるため、購入前に自治体や住宅会社などへ確認することが重要です。
土地が安いという理由だけで契約するのは避けましょう。
3.地盤と災害リスクを確認する
家を建てるなら、その土地の地盤や災害リスクも確認しておきましょう。
昔、田や沼などだった土地、盛土された土地、低地などでは地盤について注意して確認したいところです。
また、川や山の近くなどでは洪水や土砂災害などのリスクも考える必要があります。
土地を検討するときは自治体のハザードマップなどを確認しておきましょう。
昔の地図や航空写真を確認して、その土地が以前どのように使われていたのかを調べるのも参考になります。
ただし、「地名に川や沼が入っているから危険」「昔は田だったから必ず地盤改良が必要」などと、それだけで判断することはできません。
最終的な地盤の状態は地盤調査によって判断されます。
地盤改良が必要になった場合の費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
新築の地盤改良費はいくら?工法別の費用相場と予算オーバーを防ぐ方法
4.道路の幅と接道状況を確認する
土地そのものだけでなく、土地に接している道路も重要です。
道路が狭い場合、セットバックが必要になることがあります。
セットバックによって建物に使える土地が想定より狭くなれば、希望していた間取りを変更しなければならない可能性もあります。
また、車を使う家庭では道路幅を実際に確認しておきましょう。
図面で見ると問題なさそうでも、毎朝狭い道路から車を出すとなると意外に大変です。
土地を見に行く際には、自分の車で実際に周辺道路を走ってみることをおすすめします。
5.土地の境界を確認する
古い住宅地などでは、隣地との境界が明確になっていない土地もあります。
土地を購入したあとに境界をめぐって隣人とトラブルになるのは避けたいところです。
購入前には、境界標があるか、測量や境界確認がどこまで行われているかを不動産会社などに確認しておきましょう。
特に昔からある集落の土地や相続された土地などを購入する場合は、念入りに確認したいポイントです。
6.小学校だけでなく中学校や高校への通学も考える
子どもがいる家庭では学校までの距離も重要です。
小学校は近くても、中学校がかなり遠いという地域もあります。
さらに子どもが高校へ進学すれば、電車やバスを利用するようになるかもしれません。
大人だけで土地を選ぶと、つい「会社に通いやすいか」「買い物に便利か」を優先しがちですが、子どもが10年後にどのような生活をしているかも考えてみましょう。
通学する公立学校が分からない場合は、市町村の教育委員会などで確認できます。
7.買い物・病院・交通手段を確認する
スーパーやコンビニが近いかだけでなく、病院や公共交通機関なども確認しておきましょう。
現在は車でどこへでも行けるとしても、20年後、30年後も同じとは限りません。
年齢を重ねて車を運転しなくなった場合、徒歩や公共交通機関で生活できるかという視点もあります。
駅から遠い土地は価格が安いこともありますが、安さだけでなく将来の生活まで考えて判断したいところです。
8.騒音と交通量を確認する
幹線道路や線路に近い土地では騒音を確認しておきましょう。
最近の住宅は断熱性や気密性が高く、窓を閉めれば外の音をかなり抑えられる住宅もあります。
しかし、窓を開けて生活する季節もありますし、交通量が多い道路では車の出入りや子どもの安全も気になります。
また、一見静かな住宅街でも安心とは限りません。
私が土地選びで特におすすめしたいのは、通勤・通学時間帯にもう一度その土地を見に行くことです。
住宅街のさらに奥に新しい分譲地があると、手前の道路が抜け道として使われていることがあります。
昼間に土地を見たときは静かだったのに、朝夕は車が次々と通るということもあり得ます。
9.近隣環境や自治会について確認する
家は土地を購入して終わりではありません。
その地域で何十年も生活することになります。
可能であれば、
- 自治会費はいくらか
- 地域行事はどの程度あるか
- 役員はどのくらいの頻度で回ってくるか
- ごみ集積所はどこか
- 地域独自のルールがないか
なども確認しておきましょう。
新興住宅地だから自治会も新しいとは限りません。新しく開発された区域が、昔からある自治会に含まれていることもあります。
反対に新しい住民ばかりの自治会では、役員などの運営方法がまだ固まっていないこともあります。
土地だけを見ても分からない部分なので、不動産会社や自治体、可能なら近隣住民などから情報を集めておくと安心です。
10.駐車場は将来必要になる台数まで考える
車が必須の地域では、駐車スペースも土地選びの重要なポイントです。
現在夫婦で車を2台所有しているなら、最低でも2台分のスペースが必要です。
さらに子どもが成長して車を所有するようになれば、3台、4台必要になる家庭もあるでしょう。
駐車場を広くすれば、その分だけ建物や庭に使える面積は小さくなります。
現在必要な台数だけではなく、10年後に何台必要になる可能性があるかまで考えておくと後悔を減らせます。
土地は時間帯と曜日を変えて2~3回見に行こう
土地選びでは、一度見ただけで購入を決めないことをおすすめします。
できれば、
- 平日の昼間
- 朝または夕方の通勤・通学時間帯
- 休日
など、時間や曜日を変えて2~3回確認してみましょう。
可能なら夜にも一度見ておきたいところです。
昼間は静かでも朝夕だけ交通量が増える、休日だけ近くの施設に人が集まる、夜になると街灯が少なくかなり暗い、といったことがあります。
これは地図や不動産情報だけでは分かりません。
私の家の近くには農業用のため池があります。
そこに釣りに来る人がいるのですが、専用の駐車場がないため路上駐車されることがあります。
さらに水場なので虫も多く発生します。
ため池そのものだけを見れば自然があって悪くない環境に思えるかもしれませんが、実際に住んで初めて分かる問題もあるという一例です。
候補地周辺を少し歩いてみるだけでも、意外なことに気付けます。
安い土地でも追加費用がかかることがある
土地価格が相場より安いと魅力的に見えます。
しかし、家を建てるまでに追加費用が発生する土地もあります。
例えば、
- 地盤改良
- 造成工事
- 擁壁工事
- 上下水道の引き込み
- 古家の解体
- 高低差への対応
などです。
土地が200万円安くても、家を建てられる状態にするため200万円以上かかるのであれば、本当に安い土地とは言えません。
土地の販売価格ではなく、「その土地に希望する家を完成させるまでの総額」で比較することが重要です。
角地はメリットだけでなく固定資産税も確認
角地は道路に二方向以上接しているため、玄関や駐車場の配置など間取りの自由度が高くなる場合があります。
日当たりや風通しの面でも有利になることがあります。
一方、一般的に角地は人気があるため、土地価格が高くなることがあります。
また、固定資産税の土地評価でも、二方向の道路に接していることなどが評価額に影響する場合があります。
私が固定資産税の仕事をしていた経験からも、土地は単純に「面積×単価」だけで評価されるものではありません。
角地を選ぶ場合は、土地価格だけでなく毎年の固定資産税についても頭に入れておくとよいでしょう。
土地を買う前に住宅会社にも見てもらおう
気に入った土地を見つけても、できればその場ですぐに契約せず、住宅会社にも相談してみましょう。
住宅会社なら、
- 希望する大きさの家を建てられるか
- 駐車場を何台確保できるか
- 土地の高低差に問題がないか
- 造成などの追加工事が必要か
- 法的な建築制限に問題がないか
といった点を、実際に家を建てる視点から確認してくれます。
不動産会社は土地探しのプロですが、最終的な目的は土地を買うことではなくそこに理想の家を建てることです。
土地探しと住宅会社探しを別々に考えないほうが、失敗を防ぎやすくなります。
土地探しと住宅会社選びは同時に進めよう
「土地を決めてから住宅会社を探そう」と考えている人もいると思います。
しかし注文住宅の場合は、土地探しと住宅会社選びを同時に進める方法がおすすめです。
候補地が見つかった段階で住宅会社に相談できれば、希望する間取りが入るか、土地以外にどの程度の費用が必要になりそうかを確認できます。
また、住宅会社によって土地探しへの対応や提案内容も違います。
最初から1社に絞るのではなく、複数の住宅会社を比較してみましょう。
住宅会社を探す方法については、資料請求や住宅会社比較に使えるサービスをこちらの記事で比較しています。
注文住宅の資料請求・住宅会社比較サイトおすすめ5選|目的別に使い分けよう
まとめ|完璧な土地より「後悔の少ない土地」を選ぼう
土地選びでは、価格、広さ、立地、学校、道路、地盤、近隣環境など確認したいことがたくさんあります。
すべての条件を満たす土地を探そうとすると、なかなか決められなくなってしまいます。
大切なのは、家族にとって何を優先するのかを決めることです。
今回紹介した10項目をもう一度まとめると、
- 土地と建物を合わせた総予算
- 希望する家を建てられるか
- 地盤と災害リスク
- 道路の幅と接道状況
- 土地の境界
- 学校・通学環境
- 買い物・病院・交通手段
- 騒音と交通量
- 近隣環境・自治会
- 駐車スペース
となります。
そして、候補地は一度見ただけで決めず、曜日や時間帯を変えて何度か足を運んでみてください。
実際に周辺を歩き、車で走ってみることで、不動産情報だけでは分からないことが見えてきます。
最後に、土地選びで迷ったときは土地だけで判断せず、住宅会社にも相談してみましょう。
「安い土地を買うこと」ではなく、「その土地で家族が長く暮らせる家を建てること」を目的に土地を選ぶことが、後悔を減らす一番の方法だと思います。

