家を建てる前にかかる費用のひとつに「地盤改良費」というものがあります。
どういったものなのか説明させていただきます。
まずは概算見積もりから
土地を購入し、どこのハウスメーカー(工務店)で建てるのかということも決めると、その際に概算の見積もりが提出されます。
なぜ、概算なのかというと、まだ確定していない部分があるからです。
「地盤改良費」というものが確定していないのです。
地盤改良費は地盤調査を行ったあとに額が決まります。
それから正式な工事請負契約を結ぶことになります。
地盤調査とは?何のために行う?
家を建てる前に必ず地盤調査というものが行われます。
要は土地が家の建築に耐えられるかを計算する調査です。
家を建てても簡単に傾くような軟弱な土地でないかを調べるわけです。
よくビルを建てる際にボーリング調査と呼ばれる土地に穴を開けて深くまでドリルを突っ込む調査がありますが、あれの小型版という感じです。
たとえ、家を建てるために分譲されている土地であってもこの調査は必要です。
これをちゃんと行わないと、建ててから家が傾きかねないのでおろそかにできません。
なお、この調査をするだけで、普通の大きさの木造家屋だと5万円から10万円程度かかります。
非木造家屋や大きな床面積の家屋だとさらに倍くらいかかります。
地盤改良費はいくらくらい?
地盤調査費だけで5万円から10万円くらいかかります。
調査の結果、「改良の必要なし」とされればそれ以上費用はかかりません。
しかし、もし土地の地盤が弱いと判断された場合、強化するための工事費用がかかります。
地盤改良工事には「表層改良工法」「柱状改良工法」「鋼管杭改良工法」の3種類があります。
表層改良工法
読んで字のごとく、表層改良工法とは軟弱な地盤が2m程度の浅い表面だけの場合に可能となる工事です。
2m程度の深さの位置にセメント系凝固材を混ぜ合わせて強固な地盤をつくります。
地盤というものは通常深くなるほど硬くなります。
なので、表面部分だけを改良するこの工事の場合、地盤全体で考えるとその土地は決して弱いわけではありません。
表面だけの改良工事ですから、他の工事に比べて安価で、100㎡程度床面積の建物なら30万円から50万円くらいで収まります。
それでも痛い出費ではありますが、安全のためには欠かせないものですから受け入れましょう。
ちなみに実体験から言うと、我が家はこの表面だけの改良工事で済みました。
30万程度支払った記憶があります。
我が家は元々、低い山を削ったような土地に建っているのですが、その分地盤は強かったのかもしれません。
柱状改良工法
表面から2m以上、8m未満くらい掘らないと硬い地盤にたどり着かない場合、必要とされる工事です。
いくつか土地に長細い穴を開け、セメントと土を混ぜた材料を流し込んで柱のようなものを作り、その上に基礎を作ります。
およその相場は50万円から80万円程度と言われています。
鋼管杭改良工法
軟弱な地盤が10m程度の場合に必要となる工事です。
やや細い鋼管やコンクリートの杭を埋め込んで荷重を打ち込み基礎を支えます。
最大30mくらいまで使える工法です。
ここまで来ると100万円を超える工事費が必要となります。
この工法を使わないといけないような土地はよほど安くない限りはおすすめできません。
地盤改良工事を安くする方法
避けるべき土地を見極める
まずは当然のことですが、地盤が弱そうな土地を購入しないことです。
埋立地や盛土がされた土地、川や池など水に関する地名が付いている土地、そもそも川や海に近い土地は避けるべきでしょう。
今はどこの役所でもハザードマップというものを作っていて、大雨が降ると浸水するリスクのある土地がわかるようになっています。
また国土地理院のHPではそれほど詳細ではありませんが、昔の航空写真が見られます。
昔どのような地形だったかを調べてみてください。
良心的なハウスメーカーや工務店なら調べてくれますし、地元密着型の工務店なら過去の地形情報にも詳しいです。
ハウスメーカーに相見積もりを取ってもらう。
地盤調査を行うのはハウスメーカーではなく、下請けの業者になります。
何も言わないと、ハウスメーカーの営業スタッフが勝手になじみの業者に頼んでしまいます。
煙たがられるかもしれませんが、高い買い物をするわけですから、2社以上の相見積もりを取ってくれと頼みましょう。
ハウスメーカーが出して来た見積金額の明細を見せてもらい、他の業者に自力で見積を取るのも手段です。
ただ、これは専門的な知識がないと難しいかもしれません。
まとめ
地盤調査自体は絶対に必要なものです。
しかし、結果によっては痛い出費となり、建物にかける費用を削ることになりかねません。
購入する土地は慎重に見極めましょう。
仮に高い地盤改良費が提示されたら、相見積もりを取ってもらうなどの手段で対抗しましょう。